フランスBDメディアが選ぶ2019年ベストマンガ(BoDoï編)
読み方は「ボドイ」で合ってるんでしょうか?不安です。
「ボドイ」はBDの評論やイベントレポート、作家へのインタビューなどBDとその周辺について網羅的に扱ってたBD情報誌です。1997年に創刊され、なんやかんや (詳細はwikipedia見てください)*1あって、2008年に140号を以て休刊(廃刊?)。その後インターネット上で同名のウェブメディアを運営し始め、今に至ります。
「ボドイ」にはBDに関する記事だけでなく日本のマンガに関する記事も多く掲載されており、それなりに質も高く、フランス語圏におけるマンガ受容を考える上で非常に有益です。
ということで今回はそんなフランス本国のBDメディア「ボドイ」が選ぶ2019年ベスト日本マンガにどのようなものがあるのか見ていきましょう。
ちなみに選者は「ボドイ」でマンガに関する記事を多く執筆されているRémi I.さんとFrederico Anzaloneさんです。それぞれランキングを発表されていますので、順に見ていきたいと思います。
まずはRémi I.さんが選ぶ2019年ベストマンガがこちら。
2019年にフランスで第一巻が出版されたマンガのランキング
Les top 10 de Rémi I.
MEILLEURS NOUVEAUTÉS MANGA DE L’ANNÉE
1. Les Liens du sang – par Shūzō Oshimi (Ki-oon)
2. La Vis – par Yoshiharu Tsuge (Cornélius)
3. Chiisako Garden – par Yuki Kodama (Vega)
4. Le Bateau de Thésée – par Toshiya Higashimoto (Vega)
5. BL Métamorphose – par Kaori Tsurutani (Ki-oon)
6. Natsuko no Sake – par Akira Oze (Vega)
7. Beastars – par Paru Itagaki (Ki-oon)
8. Tokyo Revengers – par Ken Wakui (Glénat)
9. Errance – par Inio Asano (Kana)
10. Elin – La charmeuse de bêtes – par Itoe Takemoto d’après Nahoko Ueashi (Pika)http://www.bodoi.info/best-of-2019-les-meilleurs-mangas-de-lannee/
↓日本語
2.つげ義春«La Vis(『ねじ式』)»コルネリウス、2019年(『ねじ式』をはじめとしたつげ義春の作品集だそうです)
5.鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』KADOKAWA、2018年
2019年にフランスで2巻以降が出版されたマンガのランキング
MEILLEURES SUITES MANGA DE L’ANNÉE
1. L’Atelier des sorciers – par Kamome Shirahama (Pika)
2. Bride Stories – par Kaoru Mori (Ki-oon)
3. Yotsuba & ! – par Kiyohiko Azuma (Kurokawa)
4. Space Brothers – par Chūya Koyama (Pika)
5. Ajin – par Gamon Sakurai (Glénat)
6. Je suis Shingo – par Kazuo Umezu (Le Lézard noir)
7. Perfect World – par Rie Aruga (Akata)
8. Peleliu – Guernica of paradise – par Kazuyoshi Takeda (Vega)
9. Kingdom – par Yasuhisa Hara (Meian)
10. Spiritual Princess – par Nao Iwamoto (Kazé)http://www.bodoi.info/best-of-2019-les-meilleurs-mangas-de-lannee/
↓日本語
1.白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』5巻、講談社、2019年
3.あずまきよひこ『よつばと!』14巻、KADOKAWA、2018年
7.有賀リエ『パーフェクトワールド』9巻、講談社、2019年
8.武田一義 、平塚柾緒『ペリリュー』6巻、白泉社、2019年
10.岩本ナオ『町でうわさの天狗の子』12巻、小学館、2014年
続いてFrederico Anzaloneさん選出のベストマンガがこちら~。
Le top 10 de Frederico Anzalone
1. La Vie devant toi – par Hideki Arai (Akata)
2. Les Liens du sang – par Shūzō Oshimi (Ki-oon)
3. Himizu – par Minoru Furuya (Akata)
4. La Vis – par Yoshiharu Tsuge (Cornélius)
5. Avec toi – par Keiko Nishi (Akata)
6. Gigant – par Hiroya Oku (Ki-oon)
7. Eisbahn – Sentier verglacé – par Tsuchika Nishimura (Le lézard noir)
8. Hi Score Girl – par Rensuke Oshikiri (Mana Books)
9. Jagaaan – par Kensuke Nishida et Muneyuki Kaneshiro (Kazé manga)
10. BL Métamorphose – par Kaori Tsurutani (Ki-oon)http://www.bodoi.info/best-of-2019-les-meilleurs-mangas-de-lannee/
↓日本語
1.新井英樹、山田太一 『空也上人がいた』小学館、2014年
4.つげ義春«La Vis(『ねじ式』)»コルネリウス、2019年
7.西村ツチカ『西村ツチカ短編集 アイスバーン 』小学館、2017年
8.押切蓮介『ハイスコアガール』スクウェア・エニックス、2012年
9.にしだけんすけ、金城宗幸『ジャガーン』小学館、2017年
10.鶴谷香央理『メタモルフォーゼの縁側』KADOKAWA、2018年
最後にRémi I.さんとFrederico Anzaloneさんのお二人で選ばれた、2019年に新版として出版されたマンガのベストです。
MEILLEURES RÉÉDITIONS MANGA DE L’ANNÉE (AVEC FREDERICO ANZALONE)
– MW – par Osamu Tezuka (Delcourt/Tonkam)
– Ping-Pong – par Taiyō Matsumoto (Delcourt/Tonkam)
– Solanin – par Inio Asano (Kana)
– Vampyre – par Suehiro Maruo (Le Lézard noir)
– Kirihito – par Osamu Tezuka (Delcourt/Tonkam)http://www.bodoi.info/best-of-2019-les-meilleurs-mangas-de-lannee/
意外なマンガがランクインしていたり、そもそも「まさかこのマンガが翻訳されているなんてっ」ってこともあるかもしれません。個人的には『BEASTARS』がもうちょと上かなと予想していたんですが(フランス人は擬人化がすきなので(偏見))、概ね納得感のある選出ではないでしょうか。
新版のベストマンガだけでひと項目作られているのは、復刻・復刊が盛んなフランスならではと言えるでしょう。
ちなみに両氏が挙げているつげ義春の≪La Vis≫は1968年から1972年までの間の7作品を収録したコンピレーションだそうで、こちらはフランスオリジナルです。
今後もBDやフランスでのマンガ情報などを積極的に発信していく予定なので、また覗きに来てくださいね~。
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